Illustratorで、テキストに文字スタイルと段落スタイルの両方を適用し、設定が競合した場合、文字スタイルの方が優先して適用されます。
しかし、[標準文字スタイル] と 標準段落スタイル のみが適用されていて、その設定が競合した場合(デフォルトの標準段落スタイルは文字属性がすべて空欄なので競合しませんが、カスタマイズして競合させた場合)は、[標準文字スタイル] よりも 標準段落スタイル の方が優先されます。
このことから、Illustratorのテキスト属性の優先度について、下図のように理解されがちです。(たとえば「文字/段落スタイルのまとめ(Illustrator編) | 3倍早くなるためのDTP講座」)
しかしこれでは説明できない事象があります。
[標準文字スタイル]の文字サイズを10ptに、標準段落スタイルの文字サイズを20ptにし、段落スタイルを新たに作成して文字サイズの欄は空欄にしたとします。
この段落スタイルをテキストに適用した場合、文字サイズはどうなるでしょうか。
優先度の図を上からたどっていくと、オーバーライドはなく、ユーザーが作成した文字スタイルはなく、ユーザーが作成した段落スタイルの文字サイズは空欄であるため、4段目の「標準段落スタイル」の20ptが適用されるはずです。
しかし、実際は[標準文字スタイル]の10ptになっています。どうしたことでしょう。
ここで思い至るのが、記事タイトルにある
[標準文字スタイル]には[]がついているが、標準段落スタイルにはついていない
という点です。これのことね。
「[]がついていない」という標準段落スタイルの特徴は、考えてみれば、ユーザーが作成した段落スタイルと同じです。
したがって、標準段落スタイルはすべてのテキストの段落属性のベースである一方で、段落スタイルパネルで標準段落スタイルが選ばれている場合には、ユーザーが作成した段落スタイルと同じ階層でも再び適用しているのではないか、と考えることができます。
これだったら、書式のベースとしての[標準文字スタイル] と標準段落スタイルの関係も「文字スタイルが上」という、自然な関係性でよいことになり、上記の事象も説明できます。
図にするとこう。
てことで、 [標準文字スタイル] が [] で囲まれているのは、「ユーザーが作成した文字スタイルと同じようには適用しないよ」の意であり、標準段落スタイルが囲まれていないのは「ユーザーが作成したスタイルと同じようにも適用しているよ」、ということなんじゃないかと思うわけです。Adobeさんの真意は分かりませんが。
オワリ
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